物語のターニングポイントとなるのが、クリスマスイブの夜、聖歌隊が歌う教会でケビンとマーリー老人が隣り合わせに座る名シーンです。逃げ場のない神聖な空間で、ケビンは老人が決して殺人鬼などではなく、孫娘の晴れ舞台を客席から見守ることすら許されない深い苦悩を抱えている事実を知ります。
マーリーは語ります。「息子と何年も前に酷い喧嘩をして以来、一度も口をきいていない。電話をかけても、もし相手が出なかったら……拒絶されるのが怖くて受話器を取ることができないんだ」。
それに対し、自らも家族と衝突して「消えてしまえばいい」と願ってしまったケビンは、子どもの純粋な論理でこう返します。「怖がって何もしないでいたら、結局ずっとひとりぼっちのままだよ。ダメ元でもやってみるべきだ」。
この対話によって互いの心のブロックが解かれ、勇気を得たケビンは自宅を防衛する決意を固めます。そして泥棒コンビに捕まり絶体絶命となったケビンを、自慢の雪かきシャベル一撃でノックアウトして救出したのが、ほかならぬマーリー老人でした。
映画のエンディング、家族と無事に再会を果たしたケビンが窓の外を眺めると、そこには息子の家族と熱い抱擁を交わし、孫娘を愛おしそうに抱き上げるマーリー老人の姿があります。ふと視線が交わると、老人は穏やかな笑みを浮かべてケビンに手を振り、ケビンもまた嬉しそうに手を振り返す――。言葉を介さずとも通じ合う2人の絆は、映画史屈指の美しい幕切れとして観る者の心を揺さぶります。