この疾患が極めて危険視される理由の1つに、「進行スピードの速さ」が挙げられます。わずか数日から1週間程度で病勢がステージを一気に駆け上がることが珍しくありません。早期発見のためには、妊婦自身が感じる身体の変化と、産科医による厳密な超音波スクリーニングの双方が不可欠です。
母体に現れる最も典型的な初期サインは、「急激な腹部の膨満感と張り」です。レシピエント側の羊水が急増するため、「ここ数日で急にお腹が張り裂けそうに大きくなった」「皮膚が限界まで引っ張られて痛む」「子宮が肺や胃を圧迫して息苦しく、横になって眠れない」といった異変が生じます。短期間で体重が不自然に急増するケースも多く見られます。これらは単なる妊娠中期のお腹の成長ではなく、子宮内で羊水過多が急速に進行している危険信号です。
ただし、自覚症状が現れた段階ではすでに病状が進行しているケースも少なくありません。そのため、日本産科婦人科学会のガイドラインでも、一絨毛膜双胎に対しては妊娠16週前後から少なくとも1〜2週間ごとの超音波健診が強く推奨されています。超音波エコーで両児の膀胱の見え方、羊水ポケットの深度差、推定体重差を定期的に精密計測することこそが、最悪の事態を防ぐ最大の防壁です。