物語の根底にあったのは、「地球上の男性の99.9%を死滅させたMK(Male Killer)ウイルスの脅威」と「女性だけの世界を牛耳る国際組織UW(United Women)の陰謀」、そして「人工冬眠から目覚めた男たちのサバイバル」でした。
多くの読者が最も息を呑んだのは、主人公・水原怜人(みずはられいと)と、彼を監視・補佐し続けた専属担当官・周防美来(すおうみら)の終着点です。怜人は作中を通じ、行方不明となった最愛の幼馴染・橘絵理沙(たちばなえりさ)を一途に追い求め、世界中からの「メイティング(子作り)」の要請を頑なに拒絶し続けました。
しかし物語終盤、周防美来の正体が「絵理沙の遺伝子をベースに、UWの謀略のために生み出されたクローン体」であったという残酷な真実が明かされます。自らの存在意義に苦悩し、自らを使い捨ての道具と見なしていた美来に対し、怜人は「絵理沙の代わり」としてではなく、「これまで苦楽を共にし、自分を信じて支えてくれた一人の自立した女性」として美来と向き合う決断を下しました。
クライマックスにおいて、怜人は持ち前の生化学者としての知見と、協力者たちの尽力により、ついにMKウイルスの完全な特効薬(ワクチン)の開発に成功します。世界各地でコールドスリープに入っていた男性たちの解凍と治療が進み、人類絶滅の危機は回避されました。
そして迎えたエピローグ。世界が正常化へ向かう中、怜人と美来は正式に結ばれ、二人の間には新たな命(子ども)が誕生しています。ただの「種の保存のための生殖」ではなく、互いの魂と尊厳を認め合った上での「真実の愛」を選び取る姿が描かれ、長きにわたるディストピア劇は極めて人間的な光を灯して幕を閉じました。