1985年に公開され、第1回東京国際映画祭でヤングシネマ部門グランプリを受賞した名作『台風クラブ』。台風が接近する中学校という閉ざされた空間で、揺れ動く中学生たちの青春と衝動を描いた最高傑作だ。
この作品の伝説的な撮影現場には、知られざる裏話が多数存在する。劇中で猛烈な暴風雨が校舎を襲うシーンにおいて、巨大な送風機と散水車をフル稼働させ、夜通し撮影が敢行された。極寒の水に打たれ続け、極限状態に陥った若手俳優たちがプールサイドで踊り明かす長回しは、ほぼドキュメンタリーに近い混沌と熱量を生み出した。
当時の撮影スタッフの証言によれば、台本通りにいかないアクシデントすらも監督はそのままカメラを回し続けたという。未公開のメイキングエピソードとして、荒天の臨場感を追求するあまり機材が水没するトラブルに見舞われながらも、監督は「今しか撮れない画がある」と一歩も引かなかったことが語られている。