総務省消防庁が公表している救急搬送データによると、熱中症による年間の救急搬送者数は全国で年間約7万〜9万人規模に達し、そのうち入院を要する中等症・重症者の割合は約35〜40%を占めています。特筆すべきは、発生場所の内訳において、屋外の炎天下や運動中ではなく「住居(敷地内・室内)」が全体の約4割と最多を記録している事実です。
救命救急センターの現場医師や救急救命士の報告では、搬送時に付き添った家族や本人が「まさか家の中にいて熱中症になるとは思わなかった」「朝から少し夏バテ気味で横になっていただけなのに、午後になって返事がおかしくなった」と語るケースが後を絶ちません。SNSや医療Q&Aコミュニティでも、「夏バテで胃腸の調子が悪いと放置していたら、激しい頭痛と嘔吐に襲われて自力で立てなくなった」というリアルな体験談が数多く投稿されています。
日本人の気質として根強い「少しの体調不良なら我慢する」「冷房をつけっぱなしにするのは体に悪い」という心理的バイアス(正常性バイアス)が、受診やエアコン稼働の判断を遅らせる最大の要因です。特に基礎疾患を持つ方や高齢者は、「喉が渇いた」と感じる口渇中枢の機能が低下しているため、脱水が進んでいても自覚症状に乏しく、気づいたときには中等症以上に進行している危険があります。