バッジの中心に刻まれる「代紋」は、組織のアイデンティティそのものだ。日本最大の指定暴力団である六代目山口組をはじめ、各組織の代紋には独自の意匠と歴史が込められている。胸元に差すバッジの材質や縁取りの違いは、直参組員か二次団体幹部かという厳格な階級差を一目で知らしめる。
裏社会において代紋を背負うことは、組織の威光を傘に着る権利を得る一方で、不祥事を起こせば「代紋に傷をつけた」として即座に絶縁や破門という過酷な制裁を受けることを意味する。かつては代紋のバッジ一つで街の飲食店や企業を威圧できた時代があったが、今やその威光は急速に失われつつある。