地域密着型の学童野球グラウンドに視点を移すと、そこにはプロとは全く質の異なる葛藤が渦巻いています。本来、少年野球コーチ役割とは、子どもたちに野球の楽しさを伝え、基本的な身体の使い方を教え、フェアプレー精神を育むことにあります。しかし、現実の現場観察から浮き彫りになるのは、ボランティア指導者と保護者の間で絶えない深刻な摩擦です。
SNSやネット掲示板、各種相談窓口に寄せられる声の多くは、少年野球コーチ保護者トラブルに集中しています。その典型例が「我が子優先起用」を巡る疑心暗鬼です。お父さんコーチがチームに関わっている場合、実力差が拮抗している局面でコーチの実子がレギュラーとして起用されると、他の保護者から「贔屓(ひいき)ではないか」という不満が一気に噴出します。逆に、父親コーチが過剰に我が子に対して厳しく当たり、ベンチ内で罵倒し続けることでグラウンドの空気が凍りつくという事例も後を絶ちません。
さらに長年議論が続く「お茶当番」や「車出し」の強制負担が、保護者間の心理的分断を加速させています。「共働きで当番に入れない家庭」への陰湿な同調圧力や、指導者への過剰な接待文化が残るチームでは、入団者の激減と既存部員の退団ドミノが頻発しています。健全なチーム運営を維持している現場では、お茶当番を完全撤廃し、指導者への金銭・物品の差し入れを規則で全面禁止にするなど、明確なガイドラインを敷くことでトラブルを未然に防いでいます。