TOEIC(一般に広く知られるTOEIC Listening & Reading Test)と英検(実用英語技能検定)は、どちらも日本で抜群の知名度を誇る英語試験ですが、その開発思想と出題ターゲットは根本から異なります。TOEICは米国の非営利テスト開発機関ETSが制作し、国際的な職場環境における円滑なコミュニケーション能力や事務処理能力を測るために設計されました。問題文に登場するのは、社内メモ、出張手配、製品の納品遅延、顧客からのクレーム対応など、ビジネス英語評価基準に特化したシチュエーションが9割以上を占めます。
対する英検は、文部科学省後援の公益財団法人日本英語検定協会が運営しており、学習指導要領と密接に連動した教育的検定です。級ごとに日常会話から社会問題、自然科学、歴史、環境問題まで幅広い学術的トピックが扱われます。判定方法も、TOEICが10点〜990点の5点刻みで能力の現在地を測る「スコア制」であるのに対し、英検はあらかじめ設定された基準を満たしたかどうかを分ける「合否判定制(CSEスコア併用)」を採用しています。
測定する技能の範囲も大きな相違点です。TOEIC L&Rが「聞く・読む」の2技能に特化し、約2時間で200問という膨大な英文を素早く処理させるのに対し、英検(3級以上)は1次試験でリーディング・リスニング・ライティングを課し、2次試験で面接官との対面スピーキング(またはS-CBTによるPC吹き込み)を行う「4技能総合型」です。同じ「英語力」という言葉を使っていても、問われている実務能力と学習アプローチはまったくの別物といえます。