インターネット上の簡易まとめ記事には「水耕栽培なら室内なので虫がつかず完全無農薬で安心」といった甘い記述が目立ちます。しかし、これは現場を知らない執筆者による危険な誤解です。室内であっても、換気扇の隙間や住人の衣服、購入した切り花などを経由して害虫は容赦なく侵入します。特にしその水耕栽培でアブラムシ害虫対策を怠ると、新芽の柔らかい部位にあっという間に群生し、植物の養分を吸い尽くしてウイルス病(モザイク病)を媒介します。
万が一アブラムシが発生した場合は、早期発見がすべてを左右します。化学農薬を室内で使用することに抵抗がある場合は、食品添加物ベースの気門封鎖剤(還元澱粉糖化物スプレーなど)を散布して窒息させるか、マスキングテープの粘着面を使って一匹ずつ物理的に捕獲・除去するのが確実です。また、葉の裏側を日常的に霧吹きで洗い流す「葉水(はみず)」を行うだけでも、ハダニやアブラムシの定着率を激減させることができます。
もう一つの重大な盲点が、水位のコントロールです。「乾かしてはいけない」と考えるあまり、容器のフチまでなみなみと養液を注ぎ続ける管理者がいますが、これは植物の呼吸を阻む致命傷になります。しその水耕栽培における根腐れ対策の神髄は、「根の長さの上部3分の1を常に空気中に露出させる」という水位管理にあります。下部3分の2が養液を吸い上げ、露出した上部が空気中から酸素を直接取り込む構造をキープすること。これさえ守れば、高価なエアレーション(ぶくぶく)装置を使わずとも根腐れを未然に防ぎ続けることが可能です。