同じ体重であっても、子犬期とシニア期では持ち上げる際のリスク管理が大きく異なります。
生後数ヶ月の子犬は、骨格や関節がまだゼリー状に柔らかく、少しの衝撃で骨端線損傷や脱臼を起こします。急な好奇心から腕の中で突然跳ねて飛び降りようとする事故が非常に多いため、持ち上げるときは必ず片手で胸を、もう片手でお尻を確実にロックし、胸元から離さないホールドを徹底します。床に近い低い姿勢から抱き上げ、降ろす際も四肢が床に完全に着地するまで手を離してはいけません。
一方、ハイシニアや要介護状態の老犬では、変形性関節症や筋肉の衰えによって「関節を曲げられること自体」が強い苦痛になります。後ろ足を不自然に折り曲げて抱えたり、お腹を細いベルト状の腕で圧迫したりすると内臓にも負担がかかります。
老犬を持ち上げるコツは、「できるだけ接地面積を広くすること」です。抱き上げる際は、幅の広い大判バスタオルを胴体の下に通してハンモックのように持ち上げるか、前胸部と骨盤の下を飼い主の前腕全体でフラットに支え、背骨が一直線になる状態を維持しながら静かに持ち上げます。痛む部位に触れないよう、愛犬の呼吸や表情の変化に細心の注意を払う配慮が欠かせません。