睡眠時無呼吸症候群の治療において、手元の保険証券を見ながら「毎月の治療費を補填したい」と考える加入者は少なくありません。しかし、現場の査定基準において「通院外来治療」と「入院を伴う検査・治療」の間には越えられない壁が存在します。
まず、最も多くの患者が継続しているCPAP治療(持続陽圧呼吸療法)ですが、これは原則として「保険金支払いの対象外」となります。医療保険の基本骨格は「入院」または「所定の手術」をトリガーとして給付金が支払われる設計になっているためです。特約として「通院特約」を付帯している場合でも、約款上の条件が「退院後の通院」に限定されているケースが大半を占めます。入院を伴わずに外来で毎月受診し、CPAP機器のレンタル管理料(3割負担で月額4,500円〜5,000円前後)を支払っている段階では、通院給付金の請求は通りません。
これに対し、明確に給付金が支払われる可能性が高いのが、確定診断のために行われる「終夜睡眠ポリソムノグラフィー(PSG検査)に伴う検査入院」です。自宅で行う簡易検査ではなく、専門の睡眠医療センターや呼吸器内科に1泊2日(あるいは2泊3日)で入院し、頭部や胸部に多数のセンサーを装着して行う精密検査の場合、医師が「入院の必要性がある」と判断して実施した医療行為であれば、契約している医療保険の「入院給付金日額×日数」や「入院一時金(5万円〜10万円程度)」の請求対象となります。
さらに、重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して外科的手術(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術:UPPPなど)を選択した場合には、公的医療保険の適用対象手術であれば「手術給付金」が支払われる設計が一般的です。ただし、近年は侵襲の大きさから外科手術を選択する割合は限定的であり、まずは検査入院の一時金が受け取れるかどうかが最初の大きな分岐点となります。