世間には依然として「プロレスラーは身体を酷使する割に儲からない過酷な職業」というイメージが根強く残っています。この認識は、インディー団体や小規模プロモーションの実態としては一部真実ですが、新日本プロレスのようなトップメジャー団体においては明確な誤解です。
棚橋弘至が新日本プロレスに入社した1990年代末から2000年代初頭、団体は深刻な観客離れと経営危機に直面していました。当時の給与遅配や大幅カットの苦渋を味わった棚橋は、自ら全国のプロモーション活動に奔走し、女性ファン(プ女子)の開拓やスポンサー獲得に尽力しました。その結果、新日本プロレスはブシロード体制下で過去最高売上を更新するメガビジネスへと変貌を遂げたのです。
「レスラーが正当に対価を得られる業界構造を作らなければ、次世代の才能が集まらない」という棚橋弘至の信念こそが、自身の高年収を実現させると同時に、後輩レスラーたちの給与ベース底上げへと直結しています。ネット上に散見される「プロレス界全体の貧困化」という言説は、トップ団体のビジネスモデル進化を見落とした一面的な見方に過ぎません。