「豪華な料理=手の込んだ料理」という思い込みは、もはや過去の遺物となった。最新のトレンドを牽引するのは、下準備わずか10分で完成し、卓上に置いた瞬間にスマートフォンのカメラを向けられる仕掛けだ。
フードクリエイターたちがこぞって実践するプロ直伝の秘訣は、「素材のレイヤード(重ね技)」と「熱源のテーブル直行」にある。例えば、丸ごとカマンベールチーズに無造作にナッツとドライフルーツを散らし、オーブンで焼き目をつけたら蜂蜜をひと回し。あるいは、薄切り肉と旬の野菜を彩りよく耐熱プレートに敷き詰め、ゲストの目の前でハーブオイルを回しかけて卓上トースターへ放り込む。調理時間は合計しても10分に満たない。
「熱いものは熱いうちに、冷たいものは潔くシンプルに。香りと音をダイニングテーブルの上で完結させれば、料理の腕前に関係なくその場は一気にフェスのような高揚感に包まれます」。都内でケータリングを手がけるシェフはそう明かす。キッチンにこもる時代は終わった。ホストも席に座り、ゲストと一緒に「できたての瞬間」を味わうスタイルが支持を集めている。