この事件は、関西の百貨店や商業施設全体に巨大な衝撃を与えた。これまで日本の商業施設は「誰もが自由に立ち寄れる開かれた空間」であることを強みとしてきた。手荷物検査が存在しない無防備な空間において、個人の悪意を完全に防ぎ切ることは構造的に極めて困難だという現実が突かれた格好となった。
事件後、阪急百貨店をはじめとする主要デパートは、警備員の巡回頻度を従来の倍以上に引き上げ、主要出入口での警戒態勢を強化した。しかし、プライベート空間であるトイレ内部やフィッティングルームなど、カメラを設置できない「死角」の安全確保という難題が重くのしかかる。警備コストの増大と顧客の快適性・プライバシーの保護という二律背反する課題に、業界全体が頭を悩ませることとなった。