午前9時の開店と同時に、広大な直売所フロアは熱気に包まれる。棚に次々と並べられるのは、数時間前に近くの畑で収穫されたばかりの野菜だ。泥のついた大根、葉がピンと張ったキャベツ、そして色鮮やかな旬の食材が、生産者の名前が記されたラベルとともに積み上げられていく。
都市部の高級スーパーであれば倍以上の値がつくだろう極上の農産物が、驚くべき手頃さで手に取られていく。買い物かごを二つ抱えた大阪市内からの訪れ客は、「毎週ここに買い出しに来るのが我が家の習慣。スーパーの野菜とは持ちと味がまるで違う」と語る。生産者が直接商品を補充し、客と「今日のナスは揚げ浸しが一番うまいよ」と会話を交わす光景は、効率化が進む現代社会において失われかけた人間味あふれる流通の原形を見せてくれる。