満員の東京ドーム。地鳴りのような歓声が響く中、ステージの真ん中に立つ男は、マイク一本で数万人の観客と対峙していた。SUPER BEAVERが2026年春に成し遂げたドームツアーは、日本のロックシーンにおける一つの到達点だ。しかし、そこに派手な演出や特効はほとんどない。あるのは、ただ剥き出しの感情と、生身の人間同士のぶつかり合いだけだった。
「1対数万人じゃない。1対1を数万回やってるんだ」と彼は言う。大箱になればなるほど、アーティストとファンの距離は遠くなるのが常識だ。だが、彼のライブではその距離が狂う。最前列の熱量も、スタンド最後列の孤独も、すべて等しくステージ上に吸い上げられ、熱い塊となって投げ返されるのだ。