太さの寸法基準ばかりが注目されがちですが、食文化の歴史を遡ると、そうめんとひやむぎは「麺の成形手法」からして根本的にルーツが異なる別系統の食品です。
そうめんの発祥は、奈良時代に中国(唐)から伝来した唐菓子「索餅(さくべい)」にあります。小麦粉と米粉を練って縄状に縒り合わせたものが原型で、室町時代頃に植物油を塗りながら極細に引き延ばす「索麺(さくめん・そうめん)」へと発展しました。つまり、そうめんは歴史的に「延ばす麺」としての系譜を持っています。
一方、ひやむぎの発祥は室町時代の古文書『鈴鹿家記』などに見られる「切麦(きりむぎ)」です。これは、うどんと同じように小麦粉をこねた平らな生地を薄く延ばし、包丁で細長く切り揃えた麺を指します。当時は熱い湯で茹でて食べるものを「熱麦(あつむぎ)」、茹でた後に冷水で洗って冷やして食べるものを「冷麦(ひやむぎ)」と呼び分けていました。すなわち、ひやむぎは歴史的に「切る麺」として誕生した背景があります。