「カリスマ(Charisma)」の語源は、ギリシャ語の「カリス(Charis=神の恵み、恩寵)」に由来します。初期キリスト教においては、預言や奇跡を行うための「神から超自然的に与えられた霊能力」を指す宗教的概念でした。これを近代社会学に持ち込み、学術的な概念として定着させたのがドイツの社会学者マックス・ウェーバーです。ウェーバーは支配の正当性を「伝統的支配」「合法的支配」、そして個人の非日常的な資質に基づく「カリスマ的支配」の3類型に整理しました。
かつては「選ばれた者だけの特権」と解釈されたカリスマ性ですが、認知科学や社会心理学のアプローチによって、その構成要素は完全に可視化されています。カリスマ性とは、「相手に対して『この人は圧倒的な力(能力・確信)を持ちながら、同時に自分を深く理解し受け入れてくれている』と確信させる心理的引力」と定義できます。
「カリスマ性は生まれつき決まっている」という言説が根強いのは、幼少期の環境や無意識の模倣によって、声のトーン、視線の配り方、感情の自己調整といった行動様式が早期に固定化されるためです。遺伝子そのものがカリスマ性を決定づけているわけではなく、身につけてきた「振る舞いのプロトコル」に差があるに過ぎません。