ネット上のコミュニティやSNSの相談窓口を調査すると、「最初は助けるつもりだったのに、気づけば抜け出せなくなった」という悲痛な声が数多く見受けられます。なぜ客観的な立場にいたはずの人間が、ターゲット側に飲み込まれてしまうのでしょうか。
関係者の証言や現場のトラブル事案を分析すると、共通して見られるのは「共感性の暴走」と「過度な救済者意識」です。相手を説得したり救ったりしようとする過程で、相手の抱える強い負のエネルギーや独自のロジックに長時間晒され続けると、人間の脳は認知的不協和を解消しようとして、相手の主張を正当化し始めます。
特に、自己評価の低さを「誰かを救うこと」で埋めようとするパーソナリティの持ち主ほど、相手の支配的なペースに引きずり込まれやすい傾向があります。現場で起きたあるハラスメント調査では、被害者の救済にあたっていた相談窓口担当者が、加害者側の巧みな弁舌と権力構造に圧倒され、最終的に被害者へ「あなたにも落ち度があった」と圧力をかける側へ転向した痛ましい実態も報告されています。