岡田斗司夫氏のYouTubeチャンネル『岡田斗司夫ゼミ』が2020年代以降、再び急激な成長を遂げた最大のエンジンは、スタジオジブリ作品をはじめとする名作アニメの「構造分析・深層心理考察」です。『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『となりのトトロ』といった国民的映画に対し、岡田氏は宮崎駿監督の演出意図、絵コンテのコマ割り、時代背景、制作当時のスタジオの人間関係を多層的に織り交ぜた独自の解説を展開しています。
特にTikTokやYouTube Shortsで大量に拡散された「ジブリ映画の裏設定」を語る切り抜き動画は、2015年のスキャンダルをリアルタイムで知らない10代から20代前半のZ世代リスナーを大量に獲得しました。視聴者が岡田氏の解説に惹きつけられる理由は、単なるアニメのあらすじ紹介にとどまらず、「人間が持つドロドロとした無意識の欲望やエゴ」をアニメの描写から暴き出す鮮やかな語り口にあります。
一方で、ネット掲示板やSNS、Yahoo!知恵袋などでの評価は賛否が鋭く割れています。ファンコミュニティからは「作品の解像度が何倍にも上がる」「宮崎駿や庵野秀明の思考回路を言語化できる唯一無二の解説者」と絶賛される反面、一部のアニメ研究家や往年のファンからは批判的な意見も根強く存在します。
批判の主な論点は、「公式設定と岡田氏個人の大胆な推測(妄想)の境界線が曖昧なまま語られている」という点です。岡田氏の解説は物語論として極めて完成度が高いため、視聴者が「それが公式の裏設定である」と誤認してしまうケースが後を絶ちません。この点について岡田氏自身も「あくまでひとつの解釈、謎解きのエンターテインメントである」と前置きすることが増えていますが、その魅力と危うさは常に表裏一体の構造を持っています。