林家たい平(本名:田鹿明)を語る上で欠かせないのが、温かくも芯の強い家族の存在です。特に妻の田鹿千代さんは、元フリーアナウンサー・リポーターとしてのキャリアを持ち、たい平が一ツ家(林家一門の部屋)を背負う看板落語家へと成長する過程を陰で支え続けてきました。
千代さんは林家一門のおかみさんとして、弟子の生活管理から独演会の裏方、後援会対応までを一手に担っており、自著『林家たい平 笑顔の指南役』などの手記でも語られている通り、夫婦二人三脚で落語界の荒波を乗り越えてきました。公の場で見せる仲睦まじい様子は、芸能界きってのおしどり夫婦として知られています。
現在、夫妻には3人の子ども(長男、長女、次男)がいますが、注目すべきは息子たちの落語界入りです。長男の林家さく平(咲平)、そして次男の林家ぽん平が、実の父親である林家たい平の門を叩き、親子でありながら「師弟関係」を結びました。
家庭内では優しい父親でありながら、ひとたび落語の道に入れば厳格な師匠として接するという二重の境界線を維持することは、精神的に極めて過酷です。しかし、関係者の証言によると「父の背中を追って同じ世界に飛び込んだ息子たちに対し、師匠として誰よりも厳しく稽古をつけつつ、誰よりも成長を祈っている」といい、伝統芸能を継承する家族の深い覚悟が伺えます。