伊勢神宮の祭主とは、国家の平安と五穀豊穣を祈る天皇陛下の名代として、神宮の神事を統括する特別な存在です。戦後、神宮が国家神道の管理を離れて宗教法人となった後は、皇族や元皇族の女性がその任に就くことが慣例化してきました。
清子さまが祭主となった最大の契機は、前任者であった昭和天皇の第四皇女・池田厚子氏の高齢化でした。池田氏は1988年の就任以来、四半世紀にわたって祭主を務めてきましたが、2010年代に入ると80歳を超え、炎天下や厳寒の夜間に長時間正座・歩行を伴う神事の斎行が体力的に困難となっていました。
そこで宮内庁と神宮側は万全の継承体制を整えるため、2012年4月に清子さまを伊勢神宮臨時祭主に任命します。2013年に斎行された第62回式年遷宮という20年に一度の大祭を池田祭主の補佐として支え、祭事作法を完璧に習熟されました。そして2017年6月19日、池田厚子氏の退任(当時85歳)に伴い、第11代祭主へと正式に就任されたのです。
皇室関係者からは「上皇ご夫妻の長女であり、幼少期から宮中祭祀の所作を間近で体得されていた清子さま以外に、この重責を引き継げる方はいなかった」という声が聞かれます。伝統の重みを受け止めつつ、親族の高齢化という現実的課題を円滑に解決するための必然的な抜擢でした。