てんかわ天和の里を訪れる読者が最も心惹かれる二大要素が、地域の味覚を詰め込んだ「そば処」と、吉野の木の息吹に触れる「木工教室」です。
ランチの主役である手打ちそばは、喉越しの良さと上品な蕎麦の芳香が際立つ逸品です。地元のお母さんたちが毎朝丁寧に仕込むそば出汁は、吉野の軟水が引き出す昆布と鰹の旨味が染み渡り、一口すするごとに旅の疲労が溶け出していくような深い安心感をもたらします。定番の「ざるそば」や「山菜そば」に加え、カラリと揚げられた旬の山菜天ぷらが添えられた御膳メニューは、数量限定のため昼過ぎには完売することも珍しくありません。
一方、校舎内の旧図画工作室などを活用した木工体験は、大人から小さな子どもまで熱中できるプログラムが整っています。吉野杉の端材をカンナで削り出して自分だけの形状を作る「マイ箸づくり」や、銘木の木目を活かした時計・コースター作りなど、難易度に応じたメニューが用意されています。インストラクターを務める地元住民の指導は温かく、木材ごとの香りの違いや年輪の意味について語られる生きた解説は、机上の学習では得られない鮮烈な食育・環境教育として機能しています。