ネット上の情報では「迷惑電話はすべて非通知拒否にすれば解決する」という論調が目立ちますが、これは極めて危険な短絡です。最大の盲点となるのが、非通知拒否デメリット病院警察という公的インフラの運用実態です。
警察署や大規模な総合病院、公的行政機関からの連絡は、時として「非通知」で発信される現場ルールが存在します。その理由は組織の通信インフラの構造にあります。
第一に、警察組織の特殊な回線事情です。警察署の代表電話ではなく、事件・事故の現場に臨場した警察官の業務用携帯電話、あるいは覆面パトカーなどの捜査車両に搭載された移動通信機、捜査本部の臨時回線から電話をかける場合、防犯・捜査上の秘匿性担保や回線仕様の都合から、発信者番号が「非通知」または「公衆電話」として通知される事例が多々報告されています。家族が事故に遭った際の身元確認や緊急搬送の報せが、まさにこの非通知回線から届くことがあるのです。
第二に、大規模医療機関(大学病院や総合病院)の宿直体制です。医師や看護師が当直中に院内のPHSや内線PHS回線から外部へ架電する際、病院全体の主装置(PBX)の設定によっては、外線発信時に代表番号が通知されず、自動的に「非通知」として送出されてしまうレガシーシステムが全国の医療現場に数多く残存しています。緊急手術の同意確認や急変の連絡が、非通知拒否によってブロックされてしまう悲劇は現実に起こり得ます。
さらに、大地震や台風などの災害時における公衆電話からの安否確認も忘れてはなりません。被災地で携帯電話網が麻痺し、家族が避難所の公衆電話から辛うじて架電した場合、公衆電話発信は「非通知」と同列の扱いとして端末に弾かれてしまうリスクがあります。完全遮断は「社会的なセーフティネットの一部を自ら切断する行為」でもあるという事実を、冷徹に認識しておく必要があります。