「週末の1日だけでサクッとライセンスが取れると聞いて申し込んだのに、実際は想像以上の準備と拘束時間が必要だった……」
関東近郊のマリンライセンススクールを受講した30代男性は、苦笑い交じりに当時の失敗談を明かします。ネット広告やSNSで頻繁に見かける「水上バイク免許が最短1日!」というキャッチコピー。この言葉を文字通り「当日に手ぶらで行ってその場で免許証をもらって帰れる」と受け取ってしまうと、手痛い誤算に見舞われます。
教習所関係者の解説によると、いわゆる「1日コース」の正体は、事前に指定のeラーニング教材で学科講習(約6時間分)を完全に修了・テスト合格しておくことを前提とした実技特化型プランです。当日は朝から夕方までみっちりと水上での実技講習と修了審査(実技試験)が行われ、少しの遅刻や予習不足も許されない過密スケジュールが組まれています。さらに、修了審査に合格したとしても、国土交通省の運輸局へ免許申請を行い、実際に手元へ操縦免許証が届くまでには通常1週間から2週間程度のタイムラグが生じます。「明日友達と海で乗りたいから今日取る」といった即日利用は物理的に不可能です。
また、海事関係者の間でも長年問題視されているのが「ボート免許の勘違いトラブル」です。国土交通省の公式資料にも明記されている通り、平成15年(2003年)の法改正によって、従来の小型船舶免許制度は大きく再編されました。それ以前はボートの免許があれば水上バイクも操縦可能でしたが、現行制度では水上オートバイ専用の「特殊小型船舶操縦士免許」を単独で所持していなければ一切操縦できません。一級や二級のボート免許を保持しているベテランであっても、特殊免許を持たずに水上バイクを走舵すれば無免許運転として厳しい行政処分・罰則の対象となります。この区分分離を知らずに現場で指摘され、慌てて追加講習に駆け込む受講生が後を絶ちません。