WebメディアやSNS上で頻繁に見られる危険な誤解が、「違う色のインクを混ぜて自分好みの色を作る」「残っているインクの上から新しいインクを継ぎ足す」という行為です。これは万年筆の寿命を一瞬で縮める致命的な過ちです。
インクは単なる着色水ではなく、防腐剤、界面活性剤、pH調整剤など高度な化学成分で構成されています。酸性インクとアルカリ性インクが内部で混ざり合うと、化学反応によって不溶性の沈殿物(ヘドロ状のゲル)が発生します。この沈殿物がペン芯のミクロン単位のスリットを塞ぐと、一般的な水洗いでは二度と溶け出さなくなり、ペン芯の全交換を余儀なくされます。
色を変更する際、あるいは数ヶ月ぶりに新しいインクを入れる際は、必ず「完全な水洗い洗浄」を行ってください。
【万年筆 洗浄 水洗い 手順】
- 胴軸と首軸を分解し、使用済みのカートリッジまたはコンバーターを取り外す。
- コップに水道水を汲み、首軸(ペン先部分)をまるごと沈める。
- インクが水中に溶け出してくるので、半日〜一晩浸け置きする。水が濁ったら新しい水に取り替える。
- コンバーターがある場合は、コンバーターを装着して水を何度も吸入・排出を繰り返し、排出される水が完全に透明になるまですすぐ。
- ペン先をティッシュペーパーで包み、水気をしっかり吸い取った後、風通しの良い日陰で半日ほど自然乾燥させる。