ズーカラデルのフロントマン・吉田崇展氏が紡ぎ出す楽曲の魅力は、親しみやすいフォークロックの枠組みの中に、絶妙なコードトーンの緊張と緩和を組み込んでいる点にあります。「夢の恋人」の原曲キーはAメジャーですが、アコースティックギターで演奏する際はカポタストを2フレットに装着し、Key=Gフォームで演奏するアプローチが一般的かつ原曲のボイシングに最も忠実です。
楽曲全体を支える基本進行は「G - D/F# - Em7 - C」という王道パターンを基調としていますが、聴き手の感情を大きく揺さぶるのがサビの展開です。サビではサブドミナントである「C」から始まり、「D」を経て「B7(またはB7/D#)」から「Em」へと進行するドラマチックなドミナントモーションが採用されています。
このB7コード(III7)こそが、楽曲に哀愁とエモーショナルな高揚感をもたらす最大のスパイスです。ダイアトニックコードである「Bm」ではなく、あえて臨時記号を含むメジャーサードの音(D#)を響かせることで、歌詞に描かれる別れの予感や愛おしさがメロディと完璧にリンクします。