正しい位置に取り付けたとしても、初心者マークの「扱い方」を誤ると愛車のボディに不可逆的な損傷を与える罠が潜んでいます。オートディテーリング業者や板金塗装の現場取材では、初心者マークに起因するボディトラブルの相談が年間を通じて絶えません。
もっとも頻発しているのが、マグネットの長期貼りっぱなしによる「熱ヤケ」と「サビの固着」です。マグネットシートと車体の間には、降雨や洗車によってわずかな水分や砂埃が毛細管現象で侵入します。そこに直射日光の熱が加わることで、塗装のクリア層が白濁したり、鉄粉が酸化して錆が塗装内部まで食い込んだりします。最悪の場合、マグネットシートのゴム成分が熱で溶け、ボディの塗装と一体化して剥がせなくなる事態すら発生します。
これを防ぐためには、週に1回程度はマークを取り外し、裏面と車体の水分・汚れを拭き取るメンテナンスが不可欠です。雨が降った翌日や洗車時は必ず一旦剥がす習慣をつけることが推奨されます。
一方、ステッカータイプを採用した場合の懸念は初心者マークのシール剥がし跡対策です。義務期間である1年間が経過した後に力任せに剥がすと、劣化した糊がボディに分厚く残留し、無理に爪やスクレーパーで擦ることで塗装を深く削ってしまう失敗が後を絶ちません。
シールを美しく剥がす鉄則は、熱とケミカルの併用です。剥がす前にドライヤーや温水でステッカー表面を40〜50℃程度に温めると、粘着剤が柔軟化して千切れずに剥がしやすくなります。残ってしまった糊跡に対しては、車体塗装用として安全性が確認されている市販の「ステッカー剥がし剤」または「無水エタノール」をマイクロファイバークロスに染み込ませ、優しく溶かしながら拭き取るのが正解です。パーツクリーナー等の強溶剤はクリア塗装を変色・溶解させる恐れがあるため絶対に使用を避けてください。