本作の魅力を語る上で欠かせないのが、主演・堺雅人の圧倒的な役作りです。1シーンで数分間に及ぶ長台詞を、淀みない超高速の早口で捲し立てる法廷シーンは、当時のドラマ界に衝撃を与えました。堺雅人は舞台演劇で培った徹底した発声と身体表現を駆使し、「嫌悪感を抱かせながらも目が離せないカリスマ性」を見事に体現しました。
そして、その古美門と完璧なコントラストを成したのが、新垣結衣が演じる黛真知子です。黛はいわゆる「依頼人の善性を信じ、正義のために戦う」という典型的な熱血弁護士像ですが、古美門によってその純粋な正義感の危うさや欺瞞を容赦なく暴かれます。
脚本を手掛けた古沢良太氏は、第73回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞するなど高い評価を受けました。古沢氏の脚本は、単なる勧善懲悪を否定し、「正義とは何か」「法とは誰のためにあるのか」という哲学的な問いを、極上のコメディの皮に包んで視聴者に突きつける構成力に満ちています。