日本語の文章には、同じ文字や音の連続を避けて筆記の手間を省くための特殊な記号群が存在します。これらを総称して踊り字(おどりじ)、あるいは畳字(じょうじ)、送り字、反復記号と呼びます。
繰り返し記号の歴史と由来を遡ると、遠く中国の古代文字に突き当たります。殷・周時代の青銅器に刻まれた金文や甲骨文字において、同じ漢字を二度連記する代わりに、文字の右下に小さな二本線(二)を添える「重光符(ちょうこうふ)」が使われていました。これが奈良時代から平安時代の日本へ伝来し、木簡や古文書の写本作成時に筆記速度を上げる目的で盛んに応用されたのです。「々」の字形は、この「二」が草書体へと崩れ、さらに書き殴られる過程で現在の形に変形したものと判明しています。
日本語で使われてきた代表的な踊り字は、主に以下の5系統に大別されます。
- 同の字点(々):直前の漢字1文字を繰り返す際に使用(例:人々、木々、国々)。
- ノノ字点(〃):表や箇条書きで、直上の行や語句と全く同一であることを示す(例:同じく記号)。
- 一の字点(ゝ・ゞ):平仮名を繰り返す記号。濁点が付くと「ゞ」になる(例:こゝろ、すゞめ)。
- カタカナ用一の字点(ヽ・ヾ):片仮名を繰り返す記号(例:サヽ、ミスヾ)。
- くの字点(〳〵など):縦書きにおいて2文字以上の語句を繰り返す細長い記号(例:いろいろ、しばしば)。