建築士法において、両者の最も根本的な境界線は「設計・工事監理ができる建物の用途・構造・規模」に引かれています。簡潔に言えば、一級建築士には扱える建物に法的な上限が一切ありません。超高層ビルから大型商業施設、ドームスタジアム、総合病院に至るまで、地球上に建つあらゆる構造物を手掛ける権限が与えられています。
対する二級建築士の業務範囲は、基本的に「戸建て住宅や中規模程度までの建築物」に制限されます。建築士法第3条および第3条の2に定められた厳格なルールにより、構造種別(木造か、RC造・鉄骨造などの非木造か)と床面積、高さによって明確に線引きされているのです。
具体的には、学校・病院・劇場・百貨店といった不特定多数が利用する「特殊建築物」の場合、延べ面積が500平方メートルを超えると一級建築士でなければ設計・工事監理ができません。また、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)などの一般的な非木造建築物では、延べ面積300平方メートル超、あるいは階数が3階以上、高さ13メートル超・軒高9メートル超のいずれかに該当した時点で、二級建築士の職掌管轄を外れます。
木造建築物に関しても、延べ面積1,000平方メートル超、階数が4階以上、高さ13メートル超・軒高9メートル超の大型木造施設は一級建築士の独占業務です。なお、より初歩的な資格として「木造建築士」も存在しますが、こちらは木造かつ延べ面積300平方メートル以下、階数2階以下に限定されており、現代の多様な住宅ニーズに対応するには二級以上の取得が業界のスタンダードとなっています。