水源地である群馬県みなかみ町周辺の現地取材では、ダム湖の干上がりが視覚的なインパクトとして飛び込んできます。矢木沢ダムの貯水率が急落すると、普段は水没している旧道や旧橋梁、立ち枯れた樹木の切り株が湖底から露出し、荒涼とした乾いた大地が広がります。現地の観光関係者や農業従事者からは「春先の雪解け水が予想より早く引いてしまい、このまま雨が降らなければ田畑への配水計画を切り詰めざるを得ない」といった悲痛な証言が聞かれます。
一方で、東京都心や千葉・埼玉のベッドタウンに暮らす生活者の間では、「蛇口をひねれば普段通り水が出るため危機感が湧かない」という受け止め方が大半です。SNS上では「ダムが干上がっているらしい」「給水制限が近いのではないか」という不安の声が拡散される一方、スーパーの店頭でミネラルウォーターの買い占めが突発的に起きるなど、正しい情報に基づかない過剰反応も見受けられます。
現地が直面する物理的な水不足と、下流域の利便性に守られた都市生活者の間には構造的な「意識のギャップ」が存在しており、これが渇水報道のたびにSNSでの情報混乱を助長する一因となっています。