ポリゴンショックを語る上で避けて通れないのが、「事件の元凶は誰だったのか」というアニメファンの間で今なお議論されるテーマです。結論を言えば、映像表現上で問題の赤青点滅を引き起こしたのはピカチュウの電撃であり、ポリゴン自身は何も悪いことをしていません。
実際の映像をコマ送りで精査すると、発作の直接的な原因となった激しいフラッシュは、飛来するミサイルをピカチュウが「10まんボルト」で迎撃・爆破した瞬間に発生しています。ポリゴンはただ、主人公たちを背中に乗せてサイバー空間を移動していた乗り物に過ぎませんでした。それにもかかわらず、なぜポリゴンだけが「永久出禁」とも呼べる過酷な処分を受けることになったのでしょうか。
最大の理由は、サブタイトルが「でんのうせんしポリゴン」であったという冷酷な事実にあります。事件当夜、警察や新聞各紙は番組表に記載されたタイトルをもとに「アニメ・ポリゴンで児童発作」と大々的に報じました。その結果、一般社会において「危険なアニメ=ポリゴン」という認知が完全に刷り込まれてしまったのです。
制作サイドや株式会社ポケモンにとって、看板キャラクターであり企業価値の象徴であるピカチュウを「加害者」として扱うことは、商業的に絶対に許されない選択でした。もしピカチュウを画面から排除すれば、世界的なメガヒットを記録し始めていたフランチャイズ全体の崩壊を意味していたからです。結果として、ゲストキャラクターに過ぎなかったポリゴンがすべての汚名を背負わされ、スケープゴート(身代わり)として封印される運命を辿りました。
この処置は徹底しており、2026年現在に至るまで、テレビアニメ本編においてポリゴンおよびその進化系である「ポリゴン2」「ポリゴンZ」が物語のメインとして登場した回は一度もありません。映画の冒頭や劇中のモニターに一瞬だけ姿が映るカメオ出演を除き、四半世紀以上にわたりアニメ界から実質的な追放処分が継続している背景には、メディアの社会的責任と商業的都合が複雑に絡み合った大人の事情が存在しています。