競馬における制裁の骨子を理解する上で避けて通れないのが、日本中央競馬会(JRA)が適用する降着・失格の裁決基準だ。現在のルールでは、加害馬が被害馬の進路を妨害したとしても、「その妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と裁決委員が判断しない限り、入線順位が変更されることはない。いわゆる「国際調和基準(カテゴリー1)」の導入である。ファンからは「加害馬が得をしているのではないか」という声が上がることもあるが、着順の不確定要素を減らし、レース結果の迅速な確定を目指す世界標準の考え方に基づいている。
一方で、騎手個人に対する過失への追及はむしろ厳格化の一途を辿っている。直線での斜行や無理な割込みに対しては、過怠金(1万円から10万円程度)や、より重い騎乗停止処分が下される。騎乗停止となれば、数週間にわたり賞金獲得の機会を失うため、騎手にとって過怠金以上の致命傷となる。制裁データの詳細はJRA公式ウェブサイトやnetkeibaなどの専門メディアで即座にデータベース化され、どの騎手がどのようなリスクを抱えているかがファンや関係者の目に晒される仕組みが整っている。