ファンコミュニティや各種SNSの議論において、『ポケモンXY』のジムリーダーは「ビジュアルは最高なのに、戦うとあっけない」という評価が定着しています。過去作の『赤・緑』におけるカスミや、『金・銀』のアカネ、『ダイヤモンド・パール』のスモモやメリッサのように、何度も全滅して煮え湯を飲まされた記憶を持つプレイヤーほど、そのギャップに困惑しました。
当時の開発インタビューやゲームシステムの変遷を分析すると、この「弱さ」には意図的な構造改革といくつかの明確な要因が存在します。
第1の要因は、「がくしゅうそうち」の仕様変更による経験値インフレです。従来のシリーズでは1匹に持たせて経験値を半分分配する道具でしたが、XYからは「大切なもの」へと格上げされ、手持ちの全ポケモンに膨大な経験値が無条件で分配される仕様へと舵を切りました。これにより、寄り道を楽しみながらトレーナー戦をこなすだけで、ジムリーダー到達時には平均レベルが相手を5〜10以上も上回る事態が頻発したのです。
第2の要因は、手持ちポケモンの匹数が極端に抑えられている点です。中盤のフクジ以降、終盤のゴジカ、さらには最後の砦であるはずのウルップに至るまで、手持ちはわずか3匹しかいません。歴代の最終ジムリーダー(サカキ、イブキ、デンジなど)が4〜5匹の強力な布陣でプレイヤーを迎え撃っていた歴史と比較すると、手数と戦術の幅があまりにも狭く設定されていました。
第3に、本作最大の目玉システムであった「メガシンカ」をジムリーダーが本編バトルで使用しないことが挙げられます。シャラシティのコルニはストーリー上でメガシンカの伝承者として象徴的に描かれますが、ジム戦そのものではメガシンカを披露しません。プレイヤー側だけが圧倒的な種族値補正を誇るメガシンカポケモンや御三家を繰り出せるため、戦力バランスが一方的なものとなったのは必然でした。