この場所を特別たらしめている最大の要因は、深く太く息づく日本神話の記憶だ。神々が天上界から地上へと舞い降りたと語り継がれる天孫降臨の伝説。その中心地である高千穂には、太陽を司る最高神・天照大神にまつわる神話が今も日常の景色の中に自然と溶け込んでいる。
伝承によれば、天界の湧水である「天真名井」の水種をこの地に移したことで、尽きることなく湧き出る水が現在の滝となったという。太古から絶え間なく湧き出でる清流は、地域の人々の暮らしを潤す命の源であり、祈りの対象そのものだった。幾重にも重なる歴史の深みが、現代を生きる旅人の心をとらえて離さない。