お祝いの席に欠かせない紅白なますおせちの由来は、古代中国から伝わった生魚や生肉の細切りを酢で食す「膾(なます)」に端を発します。日本において中世から近世へと時代が下るにつれ、大根と人参という大地に根ざす根菜を紅白の「水引」に見立て、一家の平穏無事と繁栄を祈願する祝儀の進物料理として定着しました。白は清浄と潔白、赤は魔除けと慶びを象徴し、おせち料理の重箱において「口直し」と「吉兆」の双方を担う不可欠な存在です。
この縁起料理を巡っては、ネット上でいくつかの誤った調理法が流通しています。その最たるものが「長期保存したいから冷凍する」という行為です。大根を未加熱のまま冷凍すると、氷結晶が細胞壁を無惨に破壊し、解凍時にスポンジのようなスカスカの繊維質へと変貌してしまいます。食感も風味も全滅するため、なますの冷凍保存は絶対に避けるべきです。
正しい紅白なます作り置き保存方法と紅白なます日持ちの目安は、清潔なガラス製またはホウロウ容器による冷蔵管理です。酢酸によるpH値の低下(pH4.0以下)と塩分により、雑菌の繁殖は強力に抑制されます。金属製のタッパーは酢の酸によって腐食・変色を招く恐れがあるため使用できません。煮沸消毒またはアルコール除菌を施した密閉容器に漬け込み、液から野菜の頭が出ないようラップで表面を密着(落としラップ)させれば、冷蔵室で7〜10日間は作り立てのシャキシャキとした鮮度を保つことが可能です。