教祖である麻原彰晃の寵愛を一身に受け、若くして教団の「諜報省」トップに上り詰めた男。それが彼の表の顔だった。信徒獲得の功労者であり、卓越した行動力を評価された一方で、教祖の気まぐれな一言に人生を翻弄され続けた悲劇の走卒でもあった。
オウム真理教という閉ざされた密室空間において、教祖の言葉は絶対的な神託であり、いかなる残虐な行為も「カルマの救済」として正当化された。手記には、絶対的な帰依を求められる一方で、絶えず裏切りを疑われる狂気の恐怖政治が細部まで描写されている。マインドコントロールという見えない牢獄が、いかにして若者の理性を麻痺させ、怪物へと変貌させていったのか。そのプロセスの解明は、現代社会のカルト問題を読み解く上でも極めて重大な鍵となる。