大関から関脇へ転落した力士には、救済措置としての「大関復帰の10勝特例」が用意されています。これは、大関から関脇に落ちた直後の場所で10勝以上の勝ち星を挙げた場合、審判部の複雑な昇進推薦手続きを経ることなく、翌場所から直ちに大関へと返り咲くことができる特別な制度です。
通常、関脇や小結から大関へ昇進するためには「三役の地位で直近3場所合計33勝以上」かつ相撲内容の充実が求められます。それに対して、転落直後の1場所で10勝を挙げるだけで復帰できる特例は、元大関にとって最短ルートの復活劇といえます。
しかし、この10勝特例をクリアするハードルは決して低くありません。大関から転落する力士の多くは、重い怪我や深刻なコンディション不良を抱えているためです。過去にこの特例復帰を果たしたのは、三重ノ海、貴ノ浪(2度達成)、武双山、栃東(2度達成)、栃ノ心、貴景勝など限られた実力者のみとなっています。なお、この特例の権利は転落直後の「1場所限り」であり、9勝以下に終わったり休場したりした場合は権利が消滅し、通常の昇進基準をゼロから積み直さなければなりません。