祭主としての職務は、優雅なイメージとは裏腹に、極めて過酷な肉体的・精神的鍛錬を要求されます。
年間最大の重儀とされるのが、毎年10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)です。その年に収穫された新穀を天照大御神に捧げるこの神事において、祭主は外宮(げくう)・内宮(ないくう)の両宮で夜通し行われる祭儀を司ります。神事前に心身を清める「潔斎(けっさい)」は厳格そのもので、斎館に籠もり、外界の情報を完全に遮断した上で、古式に則った所作を数日間にわたって繰り返します。
深夜から未明の冷え込む時間帯に、照明も最低限に抑えられた正宮の石段や玉砂利を長衣の祭服姿で歩行する行為は、強靱な体力と集中力を必要とします。清子様は臨時祭主時代を含め、2013年の第62回式年遷宮における諸神事も見事に完遂されました。神宮関係者からは「お足元の覚束なさを一度も見せたことがなく、どれほど長時間の儀式でも背筋が微動だにしない」と驚嘆の声が上がっています。
なお、ネット上で関心を集めがちな伊勢神宮祭主 給料と待遇についてですが、祭主は基本的に「名誉職」としての性格を帯びています。公費(税金)が投入される公務員的な職階ではなく、宗教法人伊勢神宮の規則に基づき、旅費交通費や祭儀手当といった実費相当額、あるいは規定の手当が支払われるのみです。数千万円単位の役員報酬といった世俗的な高額給与が存在するわけではなく、あくまで皇室と神道への無私の奉仕精神によって成り立っています。