この曲を語る上で欠かせないのが、あまりにも美しく、どこか不穏な叙情性を秘めた歌詞だ。「五月雨は緑色」という鮮烈な書き出し。気象学的にはあり得ない色彩表現だが、これこそが彼の真骨頂であった。雨粒が濡れた新緑の葉を反射し、世界全体が緑色に染まって見える――その卓越した視覚的描写は、まるで一枚の油絵を鑑賞しているかのような錯覚を聴き手に与える。
「好きだと言えなくて」というフレーズに象徴されるのは、単なる告白の後悔ではない。想いを伝えることすら遠慮してしまうほどの、純粋ゆえの臆病さだ。好きだからこそ壊したくない。離れた場所から見つめることしかできなかった甘美で残酷な距離感こそが、この歌詞に隠された切ない真実である。