夏まゆみという人物がエンタメ業界に刻んだ足跡はあまりにも大きい。90年代のアイドルブームを牽引したモーニング娘。のデビュー曲から黄金期の大ヒット曲、さらにはAKB48の立ち上げ期における極限のレッスン。彼女が課したのは単なるステップの習得ではなく、「人間の根底にある感情をどう表現するか」という心の教育だった。
センターで脚光を浴びるメンバーだけでなく、端で踊るバックダンサーの一人ひとりに視線を送り、「あなたはそこに何のために立っているのか」を問い続けた。がんという死の影が忍び寄る中でも、その姿勢が変わることはなかった。命の灯火が消えかかるその瞬間まで、彼女の眼光は若者たちの可能性を鋭く見つめていた。