今日では日常会話でも使われる言葉となったが、その元々の発祥を辿ると、特定の金字塔的タイトルに行き着く。鬼才・富野由悠季監督が手がけたSFアニメ『∀ガンダム』だ。劇中において、人類が過去に引き起こした惨劇や戦争の全歴史を指す総称として生み出された。制作を手がけた株式会社サンライズの長い歴史の中でも、過去のあらゆる宇宙世紀シリーズや異なる世界線のガンダムを丸ごと包摂し、全肯定しつつ全否定するという壮大なメタ構想から生まれた言葉だったのだ。
本来は作品世界の根幹を成す重厚な設定用語であったが、放送終了後にネット文化へと流入する過程でパブリックイメージが変容していった。アニメファンやゲームファン、やがては一般的なサブカルチャー全般において「公式が消し去りたい失策」や「暗黙の了解で触れてはならない黒歴史」というニュアンスにシフトしていった経緯がある。表現者が生み出した概念が、皮肉にも表現の失敗を揶揄する言葉として社会に定着した過程は非常に興味深い。