日本の芸能界において、斎藤工ほど「商業的魅力」と「カルト的な探求心」を同居させている表現者は稀だ。セクシーなアイコンとして一世を風靡した『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で見せた繊細で影のある演技や、特撮映画の歴史に名を残す『シン・ウルトラマン』での人間離れした静謐な存在感。これらはすべて、幼少期に培われた客観的な「映画的視点」から緻密に計算されている。
彼は自身を単なる「被写体」として捉えるのではなく、作品全体を構成する一つのパーツとして客観視する能力に長けている。役に入り込みつつも、カメラの向こう側にある空間や監督の意図を正確に把握するバランス感覚。それもまた、少年の頃から映画現場の空気を吸い、制作の裏側を覗き込んできた経験の産物なのだろう。