新築の注文住宅のみならず、分譲マンションのリノベーション現場において、なぜこれほどまでに「壁掛けテレビ×ふかし壁」の組み合わせが支持を集めているのでしょうか。最大の要因は、構造上の制約を完全にクリアしながらノイズレスな美観を獲得できる点にあります。
一般的な住宅において、壁掛けテレビを実現する際には「壁内の下地補強」と「配線を通す空間」の2つが必須条件となります。しかし、マンションの隣戸との境にある「戸境壁(コンクリート躯体)」や、木造住宅の外周部に位置する「筋交い・断熱材が詰まった耐力壁」には、配線を通す穴を開けたり配管を埋め込んだりすることが建築基準法や管理規約上で固く禁じられています。
そこで用いられるのが、既存の壁の室内側にもう一枚新たな壁を立ち上げる「ふかし壁」という工法です。木下地(間柱)や軽鉄(LGS)で枠組みを組み、手前に石膏ボードを貼ることで、既存壁と新設壁の間に数センチから十数センチの「隠蔽スペース」が誕生します。この中空層を活用することで、電源コード、アンテナ線、複数本のHDMIケーブル、LANケーブルなどをすべて壁の内部へ隠すことが可能になります。
さらに、75インチや85インチといった超大型テレビの重量(本体+金具で30〜50kg以上)を安全に支えるための厚さ12mm〜24mmの構造用合板(下地補強材)を自由な位置に組み込めるため、落下の不安を根本から排除できる点も選ばれる大きな理由です。