黄金の大黒様をあとにし参道を奥へと進むと、目の前に立ちはだかるのは壁のような144段の石段だ。勾配は手すりにしっかりとしがみつかなければ足がすくむほど急で、一段登るごとに鼓動が跳ね上がる。
息を切らしながら登りきった先に待つ拝殿には、実は奥の本殿が存在しない。拝殿の背後に聳える巨大な天然岩「轟岩」そのものが御神体だからだ。建造物ではなく、荒々しい巨岩そのものを神として祀る古代の自然信仰の形が、そのままの姿で残されている。風が岩肌を吹き抜ける音を聞きながら佇むと、五感が研ぎ澄まされていく感触を覚えるはずだ。