混色において多くの初心者が陥る罠が、単に白と赤と黄色を混ぜて終わらせてしまう点だ。それでは血色のない土偶のような肌色になってしまう。理想的な肌色作りの基本レシピは、イエローオーカー(黄土色)やバーントシェンナ(焦げ茶系)をベースにしつつ、微量のシアンやウルトラマリンといった補色を隠し味として仕込むことにある。
黄み・赤みの調整は、キャラクターの年齢や体調、光の環境を表現する要となる。赤ちゃんや若い女性なら赤みを強めて血色感を出し、健康的な男の子や健康美を誇る人物ならイエローベースを強調する。水彩画の世界では、老舗画材メーカーであるホルベイン画材株式会社の絵の具を用い、事前に色相環に沿ったベースカラーを作っておく技法が定番だ。さらに透明感を出す裏技として、影部分に灰色や黒を混ぜるのではなく、彩度の高い紫やエメラルドグリーンを薄く重ねるテクニックが存在する。光が皮膚を透過して散乱する「皮下散乱(サブサーフェス・スキャッタリング)」現象をシミュレートすることで、イラストのクオリティは劇的に跳ね上がる。