本作は、NHK(日本放送協会)が誇る連続テレビ小説の歴史においても、極めて実験的かつ革新的な挑戦に満ちた伝記ドラマであった。最大の特徴は、劇中で使用される歌唱シーンの多くが口パクではなく、キャスト陣の「生歌」によって収録された点にある。ミュージカル界の第一線で活躍する俳優たちを多数起用したことで、劇場のような臨場感とダイナミズムがお茶の間に届けられた。
さらに、テレビドラマ業界全体が撮影休止を余儀なくされたコロナ禍において、本作は放送スケジュールの変更という試練に直面した。しかし制作陣は、第1回を再放送する期間にも出演者による副音声解説を導入するなど、視聴者を飽きさせない独自の工夫を凝らした。
最終回に本編の物語を完結させ、出演者が一堂に会して名曲の数々を歌い上げる「コンサート形式」を採用した演出は、ドラマ史に残る伝説的なフィナーレとして賞賛された。形式にとらわれない柔軟なクリエイティビティが、逆境を感動へと昇華させたのだ。