なぜ多くの家庭が、年収1000万円を超えた途端に資金繰りで息苦しさを感じるのでしょうか。そこには、本人が無自覚のまま巻き込まれる「心理的罠」と「見栄のインフレーション」が作用しています。
1つ目の盲点は、「ライフスタイルの不可逆性」です。昇給に伴って住む街のグレードを上げ、無意識のうちに日常の消費水準を切り替えてしまう現象を指します。周囲の住民が乗っている車種、身につけている衣服、子どもの習い事の数など、コミュニティ全体の消費圧力が基準値となり、「これくらいは当たり前」という感覚が家計の固定費を麻痺させていきます。
2つ目は、社会保険料の「実質増税」です。給与明細を精査すると明らかなように、厚生年金や健康保険料の天引き額は年々増加傾向にあり、さらに「子ども・子育て支援金」などの名目で社会保険料を通じた負担増が着々と進められています。額面上の給与が増えても手取りへの反映度は鈍く、「稼いでも手元に残らない」という閉塞感を加速させています。