本作が公開から10年以上経過しても色褪せない最大の要因は、キャスト陣の凄まじい演技力にあります。公開当時の舞台挨拶や映画誌のインタビューにおいて、多部未華子は「志乃のダメな部分も、みっともない感情も、すべて隠さずに晒す覚悟で挑んだ」と語っており、その覚悟がスクリーン全体から滲み出ています。劇中で見せる、不安に押しつぶされそうな瞳の揺らぎや、感情が制御不能になって溢れ出す涙は、演技を超えた生々しさを放っています。
そして、志乃を狂わせる京志郎を演じた綾野剛の存在感も見逃せません。無造作なヒゲにタバコ、飄々とした笑顔の裏にあるどこか冷めた影。女性が「この人なら私を救ってくれるかもしれない」と錯覚してしまう危険な魅力と、肝心な局面で優柔不断に逃げる弱さを完璧に体現しました。当時の特番インタビュー等でも、共演者から「現場での綾野さんは京志郎そのもので、境界線がわからなくなるほどだった」と証言されています。
さらにネット上で絶大な支持を集めているのが、脇を固める助演陣の怪演です。
特に松坂桃李が演じた「オカマの天ちゃん」は、本作の白眉と言えます。女性言葉を巧みに操りながら、恋愛で自爆を繰り返す志乃に対して「あんたそれ、ただの執着よ」と痛烈な正論を突きつける親友役を、驚くほど自然体でユーモラスに演じ切りました。普段のクールな二枚目役とは全く異なる振り切った演技は、公開当時から映画賞レースでも高く評価されました。
また、バイト仲間として登場する菅田将暉のチャラ男ぶりも語り草です。志乃の隙を見逃さず、カラオケボックスから強引に距離を縮めて一夜を共にする川谷の立ち回りは、「身の回りに一人はいるヤリチン男の仕草そのもの」とネット上で大絶賛と警戒の声を集めました。
大手レビューサイトやSNSにおける評判と感想を分析すると、「観ている最中は志乃の痛さに共感性羞恥で死にそうになったが、観終わった後に妙な爽快感がある」「恋愛映画でここまで人間の醜さと愛おしさを両立させた作品は他にない」といった熱烈な支持が今なお書き込まれ続けています。